diary

とある日のごはん日記

江村 美咲 / フェンシング(サーブル)
7:00 自宅で朝食
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朝はパン派!
汁物・フルーツ・サラダなどもしっかり食べてます!

12:30 大学の食堂で昼食
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お昼は定食の日が多いけど、この日はどうしても食べたくてラーメンです!

自宅で昼食
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ちなみに、自宅で食べるときはこんなメニューです。ヨーグルトは朝、食べるとなぜか調子が悪くなるので、昼以降に。

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練習前に補食のゼリー飲料
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移動中に食べることが多いので片手で食べられるもの!バナナやプロテインバーなどを食べる日も

21:30 帰宅して自宅で夕飯
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和食の日はこんなメニュー。疲れを残さないために
夜もしっかり食べてます!

洋食の夕飯
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洋食の日はこんな感じです!

 
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転んで気付いた、アスリートの食事の大切さ

フェンシング 女子日本代表
江村 美咲選手 (フェンシング選手)

現在19歳で大学生の江村美咲選手。小学生の頃から両親の影響でフェンシングをはじめ、高校生の頃からは日本代表として活躍している。フェンシング女子サーブルで、現在日本ランキング1位、世界ランキング7位のトップアスリートである。毎日のハードな練習や国内外の大会出場などアスリートとして多忙な生活を送る江村選手に、普段の食事・栄養管理や、試合当日の食事の様子などお話を伺った。

トップアスリートを支えるのは、毎日の母の食事

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江村選手は実家住まいで、普段は東京都北区にある味の素ナショナルトレーニングセンターで練習に励んでいる。練習はほぼ毎日。午前中の基礎練習、午後は実戦を交えた技術練習という日々だが、週に数日は大学へも通う、現役女子大生アスリートである。

そんな彼女の毎日の食事を支えているのは、母親だそう。

「ごはんはいつもお母さんが作ってくれます。朝も夜も、きちんと栄養バランスを考えたメニューを用意してくれています」と、江村選手。

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彼女が見せてくれた自宅での食事の写真は、ごはん・汁物・肉・野菜・フルーツと色とりどりの品が並ぶ。時に、食事のことで軽くケンカをすることもあるそうだが、江村選手のために毎日いろいろと考えて食事を用意してくれている。

たとえば、減量をしたいとリクエストすると、高タンパク・低脂質なメニューにしてくれたり、大学との往復で昼食の時間がとりにくい日は、移動中でも食べやすいおにぎり、サンドイッチなどを用意してくれるそうだ。

フェンシングは、瞬発力や集中力が求められる競技。それ故、コンディショニング(体調管理)が競技にとても影響しやすいため、食事の管理も大切だ。

「食事を抜いてしまうと、イライラしたり集中できなかったりして競技にも影響が出てしまうので、忙しくてもきちんと食べるように心がけています」。

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毎日の食事の内容は、専属の公認スポーツ栄養士にLINEで写真を送りアドバイスをもらっている。例えば「揚げ物が続いているから少し控えて」とか、「ラーメン屋に行くならタンメンなどの野菜などの具が多いものを選んで」といった具体的なアドバイスをしてもらっている。また、週1回は食生活を振り返る面談をして、改善点などを教えてもらい、そのアドバイスの内容は母親にも共有しているそうだ。

食事を意識したきっかけは、減量期の走り込み

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今では栄養バランスを意識して食事をしている江村選手だが、以前はまったく気にしていなかったという。

「中学生くらいまでは好きなものを好きなだけ食べていました。大好きな肉ばっかり食べていたけど、別に体重は増えなかったし、野菜は正直食べたいとも思わなかったですね…」と、当時を振り返る。

高校に進学すると同時にJOCエリートアカデミー(以下、「アカデミー」)に所属し、味の素ナショナルトレーニングセンターで練習をするようになった。昼食は毎日、管理栄養士も在籍する施設内の食堂で食べるという環境に。

「実は、緑黄色野菜や、キノコ類・海藻類が少し苦手なんです…でも、アカデミーの頃に栄養士さんからビタミンやミネラルの必要性を教えてもらってからは、野菜やキノコのおかずもちゃんと食べなくちゃ!という意識が芽生えてきたので、今はなるべく食べるようにしています」。

また高校1年生の頃に、減量のため低カロリー・低脂質な食事をしている時期に、練習ではハードな走り込みが始まった。走り込みの時期は運動量がぐんと増えるので、通常は食事の量も増やす必要がある。しかし、減量の食生活に慣れてしまっていた江村選手はボリュームのある食事がとれず、そのまま走り込みをしてしまった結果、ある時思いっきり転倒してしまったそうだ。

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「体脂肪は落ちたけど筋力は全然増えなくて、フラフラになっていて、私、こんなに体力が無いんだなぁと落ち込みました。でもその時コーチに、無理矢理にでも食べろ!と言われて、頑張ってごはんを食べる量を増やしたら、びっくりするほどバテなくなったんです!しっかり量を食べるようにしてからは、全然違いました!」

走り込みでバテていたのは、体力の限界ではなく食事の量が足りていなかったのだ。この経験から、江村選手は食事の大切さを強く意識し始めた。

フェンシング選手として大会等で活躍し始めたのが、高校生になる頃からだった江村選手。ちょうどその時期から、食事への意識や食べ方も大きく変わっていったようだ。

いつでも、どこでも自分で判断して食べる力が必要

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試合当日や、海外遠征時の食事の様子についても話を伺った。

「試合の日は、朝早くからチームのみんなで会場に移動したり、試合の時間がまちまちなので、自分のペースで食事がしにくいのが悩みです。その分、1回ごとの食べる量や、回数で調整しています」。

試合当日の朝は、パン・ごはんなどのエネルギー源となる炭水化物を多めに食べ、その後、会場では試合の合間に動きが重くならないよう、バナナやゼリー飲料などの補食を少しずつとってエネルギー補給している。

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また、海外遠征に行く際にも、試合当日用の補食はかならず日本から食べ慣れたものを持っていくという。日頃の練習の成果を発揮するには、今までの経験から「食べ慣れているものを食べるのが一番いい」と感じているからだ。

滞在先では、朝食はホテルのビュッフェで、パン・卵・ソーセージ類・サラダ・果物などの馴染みのあるメニューを選んで食べているが、昼食・夕食はどうしてもレストランなどで外食が多くなるため、自分で食べるものや量のコントロールをしている。時には、外食ばかりにならないように、日本からごはん・ラーメン・ふりかけ・缶詰などの食材をチームのみんなで手分けして持ち込んだり、現地のスーパーで買い出しをしてホテルの部屋で調理して食べることもあるそうだ。

このようにトップクラスの選手でも、遠征時などは自分自身で食事の管理をする必要があるため、アカデミーで栄養について知識がつけられたことは大きかった、と江村選手は話す。

必要なのは、集中力・判断力・決断力

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江村選手にフェンシングとは、どんなスポーツかをたずねた。

「フェンシング、特に私のやっているサーブルという種目は、一瞬の中での戦術の駆け引きがすごいスポーツ。1本1本、一瞬の中で決断して動くための、集中力・判断力・決断力が必要です」。

現在は2020年東京五輪での金メダルを目指す江村選手。競技の技術的な練習ももちろん大切だが、食事・栄養管理によるコンディショニングについても引き続きしっかり取り組んでいきたいと話す。

ちなみに、江村選手の食生活は、自己評価で80点、とのこと。

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「外食で食べすぎてしまったり、食後にアイスを食べちゃったり、ちょっと自分に甘いところがあるので、そこは改善していきたいなと思っています」。

そんな江村選手だが、「食べることが好き」と笑顔で話す彼女は、強くなるために積極的に食べ、食事を味方につけているアスリートであることが伝わってきた。

PROFILE
江村 美咲

江村 美咲(Misaki Emura)/ フェンシング(サーブル)

1998年、大分県生まれ。2014~2017年JOCエリートアカデミー所属。2014年ユースオリンピック大陸混合団体戦で金メダル、その後シニアアジア選手権では日本人として史上初となる2年連続メダル獲得。2018年2月にはシニアワールドカップにて銀メダルを獲得。現在は中央大学所属。
父・宏二さんはソウル五輪フルーレ代表、2008年北京五輪監督、2012年ロンドン五輪コーチ。母・孝枝さんも1997年世界選手権エペ日本代表経験を持つ「フェンシング一家」に育つ。

● 好きな食べ物

から揚げ

1分間チャレンジ!

アスリートのための食事のポイント

ハードな練習でバテないための食べ方

ハードな練習でバテてしまう原因の1つにエネルギー切れがあります。エネルギー切れをおこさないためには炭水化物(糖質)を多く含む主食や果物を毎食の食事でしっかりととることが大切です。長時間の練習の場合などは練習前や練習中に補食として炭水化物(糖質)を補給してエネルギー切れを防ぎましょう。

ハードな練習でバテないための食事のポイント

1.毎食+補食で炭水化物(糖質)をしっかりとる

1.毎食+補食で炭水化物(糖質)をしっかりとる

エネルギー源である炭水化物(糖質)は、からだの中で「グリコーゲン」として筋肉や肝臓にためられますが、その量には限度があります。エネルギーが身体の中に十分にある状態で練習ができるように、炭水化物(糖質)を多く含む主食(ごはん、パン、めん類など)と果物を毎食とりましょう。練習がハードな時は練習前の補食でエネルギー補給しておくことも大切です。

2. ビタミンB群をしっかりとる

2. ビタミンB群をしっかりとる

炭水化物(糖質)がエネルギーになるときにビタミンB群が必要となります。
ビタミンB群は水溶性のビタミンで水に溶けやすく汗などと一緒に失われるので、毎食の食事から補給することが大切です。特にビタミンB 1 は不足しがちな栄養素なので、ビタミンB 1 を多く含む食品(豚肉、大豆製品、玄米など)を意識して食べるようにしましょう。

3. 鉄をしっかりとる

3. 鉄をしっかりとる

鉄は酸素をからだ中に運ぶという働きをしていて不足すると持久力低下の原因となります。また、鉄が不足すると貧血となり、貧血になってしまうと治療に時間がかかるので予防が大切です。鉄を多く含む食品は限られていて不足しやすい栄養素なので、鉄を多く含む食品(レバー、赤身の肉や魚、大豆製品、ほうれん草などの青菜類)を意識してとることが大切です。

この食事のポイントを教えてくれた専門家
prof

渡辺 千穂わたなべ ちほ公認スポーツ栄養士・管理栄養士

病院勤務、給食会社で味の素ナショナルトレーニングセンター内の食堂勤務を経てフリーランスとしてフェンシング、レスリング、自転車競技、陸上競技、ビーチバレーなどの選手サポートを行う。